先輩じゃない声。
先輩じゃない匂い。
だけど……気がつけば私は、日向くんの腕の中で思い切り泣いてしまった。
「……ごめん、なさい」
しばらく泣いたあと、ようやく落ち着いた私は、恥ずかしさが込み上げた。
「ううん、大丈夫だよ」
うう……。恥ずかしい、顔から炎が出そう。
「それより目、赤くなっちゃったね」
私の目の下を優しく撫でるから、さらに羞恥心が私を襲ってきゅっと目を閉じる。
「俺ならこんなに泣かせることしないのに」
今度は、頬に降りてきた手のひらが優しく撫でる。
まるで大切にされているみたいで、心がきゅっと締め付けられる。
「あ、あのっ……日向くん……」
あまり慣れていないからこういうこと、どきどきしちゃって目線を下げる。
「ん? ああ、ごめんね」
私の頭を撫でると、ゆっくりと離れる手。
「それより楠木さんにちゃんと確かめたいことがあって」
「私に?」
一体何のことだろう……。



