「そんなの俺は認めない。だって俺は──…」
苦しそうに顔を歪めた先輩は、言葉を詰まらせたあとグイッと私を引き寄せて。
「?!」
気がつけば、視界いっぱいに先輩の顔。
「やっ……!」
思い切り先輩の胸を押し退ける。
やだ……やだ……。
どうして先輩は…そんなことを……。
「俺、謝ったりしないから」
一方的にキスをしたのに悪びれもない先輩。
こんなの……私が好きになった先輩じゃない。
それだけ言うと、先輩は私の前から立ち去って行く。
好きな人とのキスは嬉しくて幸せなもののはずなのに……こんなの全然嬉しくなくて。
「……うう〜……っ」
その場にうずくまって、泣いた。
悲しくて、苦しくて。
「──楠木さん?」
しばらくすると、背後から聞こえてきた聞き覚えのある声。
涙を拭って、振り向くとそこにいたのは日向くんだった。



