城門の前には、大勢のアレス騎士団の人間が集まっている。戦いが始まる前に比べ、みんな怪我を負っているものの、チェルシーたちが言った約束は守られているようだ。

「イヅナ!!」

イヅナが歩いて行くと、レオナードとヴィンセントが走ってくる。二人とも傷だらけで、制服もボロボロだ。

二人に抱き締められ、その温もりに触れた時、イヅナは二人が生きていることは現実なのだと実感し、目の前がぼやけていく。気が付けば、二人の腕の中で声を上げて泣いていた。

「……生きててくれて、ありがとう。嬉しい!」

泣きながらイヅナが言うと、レオナードとヴィンセントも泣き出してしまいそうな声で「ありがとう、イヅナも生きていてくれて」と返す。

「イヅナ、レオナード、ヴィンセント、ベラ、よくやった。勝利を勝ち取れたのは、お前たちがいたからだ」

抱き締め合う三人とベラに、ツヤが近付いてくる。鬼のため怪我は回復しているようだが、制服はボロボロだ。だが、その顔には晴れやかな笑顔がある。