茫然と幸之助くんを見つめると,彼はニヤリと笑って



「そりゃあ俺ら,未初の友達であると同時に」

「椛の友達なんで」



後半を康平くんが引き継いだ。



「じゃ。あとは上手くやれよ椛」

「うん」

「え」



さっさと出ていこうとする幸之助くんと康平くん。

理解が追い付かず座ったまま手を伸ばすと,その手はパシッと今田くんに捕まった。



「今田……くん」

「椛。呼ぶまで離さない」

「椛」



気迫に押されてそう呼ぶと,椛くんは後ろ手に扉を閉めて,ガチャリとうち鍵を閉めた。



「え…」

「未初,聞いて」

「はい」



私は,何を言われるの。



「康平に,聞いた。僕の好きな人気にして避けてたって……なんで?」



頭が,ましっろだ。

多分幸之助くんのせいなのは分かる。

言わない。

それだけ脳に信号を送った。

なにも分からないし,なにも見えなくなって来る。



「ふっはぁ,はぁ,ひゅっ」



泣くのか過呼吸なのかどっちかにして欲しい。