一人になった下駄箱で、灰色の空を見上げる。 ポツポツと地面に跳ねて水溜まりを作る雨はまだまだ止みそうにない。 「薫くん⋯、」 さっきの電話の事もあって、早く薫くんに会いたくてしょうがない。 早くあたしの所へ来て欲しい。 早く「柑奈」って呼んで欲しい。 嫉妬と不安で埋め尽くされる心はとても痛いから。 苦しくて寂しいから。 「早く来てよ、薫くん⋯」 小さな言葉は雨音に掻き消された。