薫くんが出たのは5コール目。
長かったなぁ、なんて思いながら「薫くん?」とわかり切った事を聞いた。
「なに?」
薫くんの声を聞いただけでドクンと跳ねる心臓はどうにかならないものか。
電話で聞く薫くんの声っていつもより少し低くて妙にドキドキしてしまう。
トクトクと鳴る胸を抑えながら「あのね、」と切り出す。
「今、雨降ってるでしょ?」
『うん』
「それで、あたし傘が無くて⋯学校から出られなくて⋯」
『⋯』
「薫くんて傘持ってたりする?」
『持ってるけど』
「迎えに来てほしいなぁー、なんて⋯、」
ヘラへラとしたあたしに電話の向こうの薫くんは無言で。
さすがにダメかなぁ、と「やっぱりいいや」と言おうとした時、
「行くからそこにいろよ」
と、薫くんの呆れた声が聞こえた。



