放課後になる頃には、趣里の言っていた通り雨が地面を濡らしていた。
「傘ないよ⋯」
「置き傘は?」
「ない⋯」
生憎、折りたたみ傘を持ち歩く様な女子でもないあたしは昇降口で立ち竦み、恨めしく灰色の空を見上げた。
「折りたたみ傘だから少し小さいけど、私のに入っていく?」
趣里が気遣ってくれたけど⋯。
「趣里今日家庭教師の日じゃなかったっけ」
「そうだけど、少しくらい遅れても平気よ」
「ダメだよ、ダメ。あたしのせいで遅れるなんて絶対やだよ」
趣里は週に一回程、家庭教師が家に来て勉強を教えてもらっているそう。
どうして塾ではなくて家庭教師なのかと前に聞いたら「一人の方が気楽に勉強出来るから」と言っていたっけ。
趣里の家はあたしの家と反対方向だし、趣里の貴重な勉強時間を奪うわけにはいない。
「じゃあどうすんのよ」
「うーん⋯、」
ザーザーと降り続ける雨は止みそうにない。



