「趣里可愛い⋯!」




「ちょっとそこ邪魔なんですけどー?」




そう言って趣里に抱き着いたあたしの後ろから迷惑そうな声が聞こえた。




「⋯陸斗!」



教室のドアの前、振り返った先にいたのは陸斗だった。



「ほら、さっさと退けどけ」



シッ、シッと手を振って見せる陸斗は何故かあたしと趣里を引き離す。




「ちょっと、何するの?」

「どー見ても柑奈のセクハラだろ今の」

「な、」

「いきなり抱きついてんの見たぞ、俺は」

「女の子同士だもん。構わないでしょ」

「よく見ろ趣里の顔。嫌そうだろうが」




そう言われて趣里の顔を見るも嫌そうな感じは全くなく、




「私、別に嫌じゃないわよ」



趣里の言葉に陸斗が小さく舌を打った。