だって、あたしがわざわざ、言ったんだよ?
そしたら何か、「この人はただの友達だよ」とか、いやそれもわざとらしいけど、何か安心させてくれる一言があっても良くない、か⋯?
あっ、もしかして相手の名前はあたしが見てないと思ったのかな?
それなら別に変なことじゃないけど、薫くんからの安心させてくれる一言を待っていたあたしからしたら少し残念だ。
でもここで折り返さなくて良かったけど。
ここで電話を折り返していたらきっとこのモヤモヤはもっと膨らんでいただろうから。
「柑奈」
「あっ、なに?」
グルグルと考えていると隣に座った薫くんの重さでソファーのスプリングが鳴る。
「今日はどうすんの?」
「へ、」
「出掛ける?それとも家でゆっくり過ごす?」
爽やかな朝、窓の外で太陽の陽射しが柔らかく二人きりの部屋を照らす。
陽の下で見ると一層、薫くんの瞳は琥珀色に見えた。
「薫くんはどっちがいい?」
「どっちでもいいよ」
その“どっちでもいいよ”は、興味がないから?
それとも薫くんの優しさ?
本心はわからない。
だって、薫くんの考えている事はあたしには難しすぎる。
だけど、いいよね。
勝手に後者だと受け取るのは自由だよね?



