薫くんのアパートから一番近くのコンビニまで往復で10分はかかる。
5分で残りの洗い物を終えたあたしは帰りを待ちながらソファーに座った。
「いいお天気だな」
窓の外を見ながらそんな事を思いながらテーブルへとふと視線を移すと⋯⋯、
「スマホ⋯」
そこには持って行かなかったのだろうか、薫くんのスマートフォンが置いてあった。
薫くんの、スマホ。
⋯み、見たい。
いや、決して不純な動機ではない。全くもって、絶対に。
信じてないとかじゃない。けど、やっぱり不安、というかなんというか、好奇心で覗いて見たい気持ちが1ミリたりとも無いと言えば嘘になるような、ならないような⋯。
⋯あああ、本音を言えば、すっごく見たい。
疑ってるとかじゃないよ、だけど人間の性なのだろうか、ダメとわかっていても普段見ることのないものが目の前に無防備に置いてあったら思わず手にしてみたくなる。
ゴク、と固唾を飲み、ソロソロとスマホへと手を伸ばす。
「⋯、」
薫くんはロックとかを掛けるタイプでは無い事は知っている。
今までだって見るチャンスは何度もあった。
でもそれをしなかったのは見てしまったことに
より薫くんに後ろめたさや秘密を感じたくなかったから。
薫くんを裏切るような事をしたくなかったから。
⋯⋯見て後悔したくなかったから。



