それは唇よりも硬く、何だか味がした。
「なにこ、れっ、」
「ビターチョコレート」
「苦いっ⋯」
押し付けられてしまったから仕方なく口の中にチョコレートを入れたものの、苦いものが大の苦手な私には海外のビターチョコレートは美味しく感じられない。
「苦いよ薫くんっ⋯!」
「そんな苦い?俺は美味しかったけど」
涙目のあたしに意地悪な笑みを見せる薫くんに「酷い」と目で訴え掛ければ「いらないなら頂戴」と後頭部を引き寄せられた。
「んっ⋯、」
今度こそ薫くんの唇があたしに触れて、あたしの唇に付いたチョコレートを舐める。
「口開けて、柑奈」
「んぅ、」
そう言われてそぉっと口を開くと入り込んでくる薫くんの舌はまだあたしの口の中で形を留めていたチョコレートを溶かしていった。



