「そう」 あたしを見て笑うでもなく、嫌がるでもなく、ただそう発した薫くんはぐっとあたしの手を引いた。 「どこ、行くの?」 「ベッド」 「ベッド⋯」 「ここでもいいならいいけど」 「ここですんの?」とソファーを一瞥した薫くん小さく首を横に振る。 それを見て薫くんはまた、あたしの手を引いて歩き出した。 すぐそこの寝室へ向かうあたしの心臓はバクバクバクバクしてて、薫くんの手を握る力が強まった。