「なんでよぅ!」
恥ずかしくて声を大きくさせても返ってくるのは薫くんの冷静な声。
「俺ん家の風呂狭いし」
「くっつけば⋯」
「嫌だよ」
「嫌って⋯!」
「くだらないこと言ってないで早く入ってこいよ」
「はい」とあたしの洋服やらが入っているバッグを押し付けた薫くんは今度はソファーに座ってスマホを弄り出す。
「薫くん」
「早く入って来て。俺も入りたいんだから」
「⋯わかりましたよっ」
スマホから顔を逸らさずそう言った薫くんにこれ以上しつこく迫れば本気で嫌がられるだろうなと諦めてトボトボとバスルームへ向かう。
一緒にお風呂に入れなかったのはまぁ残念だけど、それは今までやった事がないし恥ずかしいから⋯あたしから言い出した事だけど少し安心している。
だけど、その断り方が、あたしは気に入らないんだ。
もうちょっと優しく言ってくれたっていいじゃん。
もうちょっと期待させてくれたっていいじゃん。
狭いからとか、無理とか、そんな言葉じゃなくていいじゃん!



