そして始まった映画。
内容は切なくも甘く、最後はハッピーエンドという王道ラブストーリーだった。
「なに泣いてんの」
上映が終わり、パッと明るくなった館内。
あたしの顔を見た薫くんはぎょ、とドン引きした。
理由は簡単だ。
「こんな映画でよく泣けんな」
「うぅー⋯、感動したっ⋯」
「⋯へぇ」
薫くんの目にくだらないと映った王道ラブストーリーはあたしの目にはとっても感動的な純愛に見えたからだ。
感動で泣くあたしから僅かに体を離して冷めた目で見る薫くん。
その表情はとても寒々としていたけれど映画の世界にどっぷり浸かっていたあたしにはその冷たさは感じられなかった。



