「薫くんっ!」


人混みの中、153センチしかないあたしはちゃんと薫くんに見つけてもらえるように手を大きく振る。


するとその姿を目にした薫くんは嫌そうに眉根を寄せた。




「ピョンピョン跳ねんな」

「だって見つけられないかと思って」

「目立つの嫌い」

「ごめんね」



でも薫くん、あたしがピョンピョン跳ねなくても薫くんのカッコよさに周りの女子たちからの注目度は凄いことになってますよ。とは言わないでおいた。



「薫くん、お昼食べてきた?」

「まだ。柑奈は?」

「あたしもまだなの。どこか入ろうか」

「蕎麦食いたい」

「お蕎麦?」




お蕎麦かぁ、今日はちょっと気温も高いしいいかもしれない。




「よし、じゃあお蕎麦屋さん行こう!」




こうしてあたしと薫くんは少し歩いたところにあるお蕎麦屋さんへと足を運んだ。