この前映画を観れなかったからと、週末に薫くんとデートする約束をした。


しかも今日はお泊まりで⋯!



夜も朝も一日中薫くんと一緒にいられるとかもう、どんなご褒美ですかと言いたくなる。





「じゃあお父さん、いってきます」



のほほんとおおらかなお父さんは10時になって漸く起きてきて歯磨きをしている。


そんなお父さんに挨拶をして白色のチャンキーヒールの歩きやすい靴を履く。




「薫くんによろしく言っておいてね」




前に薫くんが挨拶に来てくれた事をキッカケにすっかり薫くんを気に入ったお父さんは自分が出張が多い事もあってか、お泊まりなどを寛大に許してくれている。

むしろ「娘を頼みます」というスタイル。

反対されない事は嬉しいんだけどあまりにもお父さんも薫くんを気に入っちゃって「今度二人で飲みたいなぁ」とよく口にするものだからそれだけはやめてと毎回言っている。


だって薫くんも嫌だろうし、何よりあたしがはぶかれているのが気に入らない。



「うん。伝えておくね」

「よろしくね。行ってらっしゃい」


フラフラと手を振るお父さんに手を振り返した。