ハニーシガレット 【完】





赤、黄、緑、カラフルな花火もあれば蜂蜜の様な、飴色をした一際大きな花火もあって。


スターマインやしだれ花火。
その迫力と美しさにうっとりとしてしまう。


夜空に咲く花。


まさにその言葉がピッタリだった。


遠くでドンッ、ドンッと打ち上がる音がする。
その美しさは一瞬で心を揺さぶり感動すら覚える。


「薫くん、綺麗だね」

「うん」


二人並んで花火を見る。

同じものを見て、綺麗だと感じる。

たったそれだけの事が、なぜか泣きたいくらい幸せだと思った。


花火から視線を移して隣を見れば、花火と月明かりに照らされた薫くんの端正な横顔があって。


長いまつ毛も高い鼻も、白い肌も、まるで作り物の様に美しい。
だけど繋いだ手からはちゃんとその温かさを感じる事が出来る。


「薫くん」


名前を呼べば「ん?」とあたしを捉える瞳。

その中に映るあたしは、どんな感じなのかな?

ちゃんと可愛く映っているのだろうか。

そうだったらいいなぁ。



花火大会やお祭りは限られた回数しか行けない。

ほとんどが夏の時期に開催されるから、またこうして薫くんと花火を見られるのは一年後になってしまうかもしれない。

それが少しだけ、ほんの少しだけ寂しくて。

だけどきっと、必ず、あたし達は来年も二人で一緒に同じ花火を見上げている気がするから。



「来年もまた一緒に来ようね」

「うん、約束」


薫くんの方から交わした約束。

それに答える様に繋いだ手に力を込めた。





─おわり─