𓂃 𓈒𓏸◌
「柑奈」
あれから数年、今も隣にいる柑奈はあの頃よりずっと大人になって、綺麗になった。
だけど相変わらず毎日の様に「好き」と伝えてくれるし、変わらないカラカラとした笑い声を響かせてくれる。
それが堪らなく安心するなんて、きっと本人は知らないのだろう。
喧嘩もしたし、たくさん泣かせてしまったけれど、それでも離れないでいてくれる柑奈をこの先何があっても幸せにしたい。
と言ったところで「今も充分幸せだよ」と返されるのは目に見えているけれど。
「どうしたの?薫くん」
名前を呼べばふわりと微笑むその表情をいつまでも眺めていたい。
どんな時でも一番近くで。
「愛してるよ」
数回しか言った事のない愛の言葉に柑奈は目を丸くした後、頬を染めて嬉しそうに笑う。
こういう反応も何年経っても変わらない。
「⋯っどうしたの?急に」
「柑奈が言ったんじゃん」
「あたしが⋯?」
「愛してるよって言わせてみせます!って、昔」
「⋯っだからってねえ!いきなりはドキドキするじゃん!」
「今から言いますって言ったらドキドキしないの?」
「それはそれでドキドキするけど⋯」
「じゃあ別にいきなりでもいいじゃん」
そう言ってソファーの上で隣に座る柑奈に身を寄せればわかりやすく喜んで破顔させた柑奈はきっと、世界で一番可愛い。なんてさすがに恥ずかし過ぎて言葉には出せないけれど。
笑って泣いて過ごしてきた日々をこれからも、たくさんの温もりと幸せに包まれて過ごしていきたいって思った。
ずっと、柑奈と一緒に。
おわり。



