翌日、このままではいけないと思いつつも、拒絶されている事にどうすればいいのかわからないまま迎えたバイト終わり。


新着メッセージが一件入っている事に気付き、メッセージアプリを開く。





今さら遅いかもしれないけど、話したいです。

薫くんのアパートで待ってます。





柑奈からのそのメッセージは、想像さえしていなかったもので。

けれど、求めて止まなかったもの。




結局、そうだ。


初めに俺を見つけてくれたのも、告白してくれたのも、全部全部、柑奈から。

今日だって、いつだって柑奈は真っ直ぐに向かってきてくれる。



こんな連絡を寄越すなら、どうして昨日電話を切ったんだって怒りとも呆れとも違う疑問を抱きながらも、足はもう、自宅のあるアパートへと向かっている。



話が何かなんてわからない。

良くない話かもしれない。

けれど、躊躇うことなく向かう。



待っているって、寒いだろ。

頬と鼻先が赤くなっている姿が目に浮かぶ。



早く、行かなければ。



早く行って、抱きしめて、「ごめん」と言って、「好きだ」と真っ直ぐな正直な気持ちを伝えなければ。


もう、二度と傷つけたくない。





はあっ、と白い息を吐きながら柑奈の元へと走った。




薫side 終。