発信音が途切れたと思った瞬間耳に流れてきたのはツーツー、という規則的な音で。
切られたんだという事実はあまりにも強く微かな希望を打ち砕いた。
そりゃあそうだ。
あんな最低な別れ方をして、何でもなかった様に電話をかけるなんてどうかしていた。
そう強がってみるけれど実際の頭の中は真っ白で、ただただ喪失感だけが支配していた。
毎日の電話をあんなに楽しみにしてくれていた柑奈はもう、俺のものではない。
電話を切った柑奈が今、一人でいるとは限らない。
もしかしたら他の男といる可能性だってある。
あの、陸斗って友達かもしれない。
今まで嫉妬したことはあった。
でも、その嫉妬という感情の裏には絶対的な自身もあった。
柑奈は俺から離れない。そう思えたから、カッコつけて嫉妬してないフリだって出来たんだ。
何回でも言おう。
こんなにも好きだったのは、俺の方だ。