それから、ほぼ一日、柑奈と連絡を取るかを迷っていた。

というよりも、もう連絡を取ろうと決めていたものの心の準備が出来ていなかった。



また、傷つけてしまったらどうしよう。

もう柑奈は俺になんて興味がなくて清々していたらどうしよう。


それこそ、立ち直れないかもしれない。




「くそっ⋯」



スマホの画面に柑奈の文字を映しては戻し、映しては戻しを何度繰り返しただろう。

ここまで自分が女々しい奴だとは思っていなかった。

柑奈の前ではいつだって自身満々に見えていたはずの俺も、所詮は臆病者だったという訳だ。






結局、電話をかける事が出来たのは夕方になってからだった。




緊張で僅かに手が震えている様な気すらする。



何て言おう、まずは、「ごめん」だろうか。

それとも「話がしたい」と伝えてそれから全てを話そうか。


頭の中を整理する時間はいくらでもあったはずなのに、こんなの柄じゃないのに、───緊張する。



耳元ではプルルル⋯という機械音が鼓動を速くする。


3コール、4コール、それが続き。





一言目は、上擦らないだろうか。




そんな心配は無駄に終わった。