「悪いけど、もうお前とは今後一切関わりたくない」
「っ」
「バイトも辞めるし、大学でももう今までみたいに話掛けてくんな。で、柑奈にももう二度とその面見せんな」
「⋯っなに、勝手なこと、」
「最低限必要な会話なら答えるけどそれ以外は無視するし、連絡先だって消す」
「薫っ!」
「今俺に感じてる怒りを間違っても柑奈に向けてみろ。本気で許さないから」
キツく初音を睨みつければ、しらばっくれて無意味に叫んでどうにかこの場を乗り切ろう、誤魔化そうとしていた初音もとうとう諦めたのだろう。
「っべつに、私は薫とかどうでもいいしっ⋯」
「⋯あっそ」
「私は友達としてあの子はやめた方が良いんじゃないのって思ってただけなのに⋯何なの!?私が悪いって言うの!?何よ、私にばっかりっ⋯勝手なことばっかり言って⋯!」
「⋯」
「もうやってらんない!バイトだって薫がいるならもう行かないし!ていうか大学の友達にアンタが酷い勘違い男だって言いふらしてやるから!」
羞恥と怒りで顔を真っ赤にした初音がそう言い捨てて、持っていたハンドバックで思いっきり顔を殴ってきた。
金具がコメカミの辺りに当たり多少痛みを感じたがこれでこの女が諦めてくれるなら安いもんだ。
俺がここまで初音にキツく当たることも想定外だったのだろう。
プライドの高い初音は振られたことを認めないし、自分が悪いことも認めない。
一言謝って欲しい気持ちもあるけれどまあいいだろう。
「ああいう子どもっぽい馬鹿な女と付き合ってるから馬鹿になるのよ!」
最後に捨て台詞を吐いて公演を飛び出して行った初音はまさに、嵐のような女だった。



