ハニーシガレット 【完】




悔しそうに顔を歪めて黙り込んだ初音の瞳から大粒の涙が零れて落ちる。

こんな時に泣くなんてずる賢い女。

その涙すらも同情を誘う手段でしかないのだろう。


改めて初音を見れば、どうしてこんな女を友達と思っていたのだろうと。
大学の授業の為とはいえ家に上げたのだろうと、意図していなかったとはいえ庇うような発言をしてしまったのだろうと後悔の嵐だ。




「もう二度と不必要に近付くなよ」

「⋯私は、ただ⋯、」

「お前のその感情は俺には要らないし、応えることもない」

「っなんで、なんで⋯!」



初音は柑奈の何が気に入らなかったのか。
もし俺が付き合っている相手が柑奈でなければ、自分と同い年であれば、満足したのだろうか。姑息な真似をしなかったんだろうか。



「お前の考えてることはわかんないけど、俺は柑奈だから好きなんだよ」



何度も隣に並ぼうと執拗いくらいに真っ直ぐな想いを伝えてくれた彼女だからこそ、好きになった。

すぐ泣いて怒って拗ねて、でも同じくらい笑って、俺なしじゃいられないくらい甘えたで。


そんな柑奈にだからこそ、心臓を鷲掴みにされたんだ。