「なんでっ、なんでよ!?」
「⋯」
「私はただっ、ただっ⋯!」
涙を目に浮かべながら声を荒らげる初音を見ても何も感じない。
コイツが何を叫んだってもう、何の情も湧かない。
「薫だってあの子のことウザイって思ってたんじゃないの!?だからバイト先にきた時だってあんなに素っ気なく接してたんじゃないの!?」
「⋯は?」
「迷惑だって、そろそろ捨てようって思ってたんじゃないの!?」
「⋯」
「ねえ、薫!」
同意を求めるように縋るように、潤んだ瞳を向ける初音に乾いた笑みが零れる。
馬鹿馬鹿しい。こんなやつに引っ掻き回されていたのが恥ずかしいくらいに、コイツの言っている事が馬鹿馬鹿しくて堪らない。
「バイト先に来させたくなかったのはただ単に高校生の女が一人でくる様な店じゃないから。俺のバイト終わりを待ってたら帰りも遅くなるだろ。それに絡んでくる客を見せるのも嫌だった。だからだよ」
「っ」
「ウザイし、我儘だって思うときもある」
「っなら!」
「けどな、そんなのどうだっていいくらい好きなんだよ」
そんな所すら、愛しいんだよ。



