放課後になり、薫くんと待ち合わせした場所まで向かう。
ちなみに髪型は趣里がしてくれたハーフアップだ。
「どっか寄る?」
「薫くんの家がいい」
「わかった」
バイトがない薫くんと今日はたくさん過ごす時間がある為、外でデートするのもいいなと思ったけれど昨日の今日でまだまだ薫くんと二人きりでいたい気持ちの方が大きかった。
「はい、ココア」
「ありがと」
昨日同様ソファーに並んで座りながら、熱々のココアを飲む。
「うあ~、あったかい!」
「暖房効くまで時間かかるからそれ飲んで温まってな」
「ありがとう。…でももうすっかり冬だねぇ」
「柑奈今年受験だろ、風邪引くなよ」
受験、という単語を出されて気が滅入るけれどこの二年間勉強の事に関しても厳しく薫くんが面倒みてくれたおかげで志望大学の評価ではA判定を貰っているから大丈夫だ。もちろん油断は出来ないけれど。
「でもさ、でもさ、あたしの受験の前に大イベントがあるでしょ?」
にっと笑ったあたしの性格をよくわかっている薫くんが面倒くさそうに「なんだろー」と棒読みで返す。
そのわざとらしさにクスッと笑いながら、薫くんの腕に手を絡ませてくっついた。
「12月24日、クリスマスイブ!」
「…」
「恋人たちのパーティーじゃん?」
「多分恋人たちのパーティーではないと思う」
「やっぱり」みたいな顔をしている薫くんは、クリスマスとかのイベントに興味を示さない。
だからいつも舞い上がっているのはあたしの方だけど、こういうイベントの時はちゃんとバイトを休んでくれるし、去年付き合ってから初めて過ごすクリスマスに舞い上がりすぎてプレゼントを用意しておく事をすっかり忘れたあたしに呆れながらもブレスレットをプレゼントしてくれたりするから実は薫くんも楽しみにしてくれていたらいいなあ、と思っている。



