「薫くん」
「ん」
「あたしはその話聞いて安心した、けど…薫くんは良かったの?」
「良かったって?」
「だから、その…初音さんは友達だったわけで…」
胸にひっかかったモヤモヤが渦巻いて、きっと渋い顔をしていただろうあたしの眉間に薫くんがそっと指を乗せる。
そして伸ばすようにそこを往復して撫でた。
「そんな顔しなくても大丈夫だよ」
「…」
「そもそも、学部もバイトも同じってだけで親友みたいな感じじゃないし。これからも授業のこととかで仕方なく話すことはあるかもしれないけどもう必要以上には近づかない」
「…」
「切って困るようなやつじゃないし、むしろ初音の本性知って関わんない方がいい人間だって思った」
「…そっか」
「この一週間話つけるのに時間かかっちゃったけど何とかアイツも納得してくれたし、バイトも違うところにするって」
「えっ?」
「最後にはこんな酷いやつとは一緒にいたくないって言われた」
「え」
「こっちから願い下げだっつーの」
はっ、と嘲笑した薫くんが一体どんな事を初音さんに言ったのかわからないけれど多分、初音さんの好意を踏みにじるような発言をしたのではないかと思う。
それを聞いて気の毒だとは思うけれど安心してしまったあたしは酷い人なのかな。
でもそれでもいいやって思う。
バイトも辞めてくれたなら本当に関わる機会はめっきり減るだろうし。
でも、ひとつワガママを言うならば。



