「切った、って…」
薫くんに手を握られながらパチパチと瞬きをしたあたしに薫くんは「あの後、」と話をしてくれた。
「あの後、初音と色々話した」
「話…?」
「まあ、端的に話すともう二度と必要以上に関わるなって話」
「っ」
「柑奈がいなくなって、自分のしてきた事とか初音がした事とか色々思い出して柑奈に酷いことばっかしたなって反省して…俺にとって一番大切なのは柑奈だから、だからもう二度と関わりたくないって事を言いに行った」
「…初音さんは納得してくれたの?」
あたしがそう聞くとぐっと薫くんの眉が寄ったからきっと色々な攻防戦が繰り広げられたのだろう。
「簡単に納得はしてくれなかったけど、その時初音から出た言葉たちを聞いて何でもっと早くコイツを切らなかったんだろうって後悔した」
「…」
「普通に同じ大学でバイト先も同じ友達だと思ってたし、だから電話の事も庇うとかじゃなくあんま深く考えてなかったけど…」
「あたしいっぱい嫌なこと言われた。あたしと薫くんは合わないとか言われたし、初めて会った時から対抗心むき出しにされて嫌だった」
告げ口みたいで嫌だったけど、この際ハッキリ言ってしまおうと思った。
「薫くんも何でこの人の好意に、悪意に気づかないの!?って思ってた」
「ごめん」
「苦しかった…」
「さっきも言った様に過信してたんだよ、柑奈ならわかってくれるって、言葉なんてなくても大丈夫だって。初音とは何もないっていう事を伝えたくて、それが裏目に出て…」
「うん…でもいいよ。薫くんの気持ちはちゃんと伝わったからもういいよ」
言葉を大切にしたい薫くんと、気持ちを大切にしたいあたし。
だからこそお互いにすれ違ってしまったけど、ちゃんとわかり合えた今ならもう大丈夫。
数少ない言葉の裏にちゃんと愛情があること。
たくさんの言葉に限りなんてないこと。
ちゃんとわかったから。



