暫く薫くんの温もりを感じて、すっかりココアも冷めた頃。
言って薫くんの心が離れていくのも嫌だしまた嫌な思いをさせてしまうかもしれないと思うと怖かったけれどこれはきちんと話をしなければいけない事だと思ってこの一週間のことを話した。
陸斗に告白されたこと、断ったこと、その時のあたしの気持ち。
どんな順序でどんな風に話せばいいのかわからず随分と長くたどたどしい話になってしまったけれど薫くんはずっとあたしの目を見て時折相槌を挟みながら真剣に聞いてくれた。
話し終えたあと、薫くんは数秒黙り込んだけれど「話してくれてありがとう」と言ってくれた。
「その陸斗ってや、…陸斗くんは柑奈のこと本当に想ってくれてんだな」
今まで陸斗ってやつ、と呼んでいた薫くんだけど気を遣ってくん付にしてくれたみたい。
そんな薫くんが少し可愛く思えた。
「柑奈は、これからその陸斗くんとどうしたいの?」
「…え?」
「俺はこれからも友達として、仲良くすればいいと思う」
「…友達として、」
「もちろんお互いの気持ちが大事だけど、相手も今まで通りにして、柑奈も今まで通りがいいならべつに変に俺に気を使う必要は無い」
明日、陸斗がどんな感じでいるのかわからないけれどきっと陸斗のことだからいつもと変わらずにいてくれるんじゃないかって思っていた。
その時あたしはどんな風に接すればいいのかまだ迷っていたから薫くんの言葉はとても背中を押してくれるものだった。
陸斗のことは友達として、大切だと思っている。
だけどあたしの一番は薫くんだから、薫くんがあの日の様に陸斗のとあまり親しくして欲しくないと思うのなら今まで通り気の合う男友達として過ごすことはやめようと思っていたから。
「薫くんはそれでいいの…?」
「柑奈にとっても大切な友達なら俺がそれを切ることは出来ない」
「…」
「嫉妬はするけど、陸斗くんは信頼出来るし」
薫くんがそんな事を言うのは珍しい。
陸斗の人の良さはきっと、少ししか会っていなくても、話を聞いただけでも伝わるものなんだと思った。
「それに、柑奈が好きなのは俺でしょ」
「…っ」
「なら、友達のことまで口出して束縛する様な事はしねぇよ」
赤くなったあたしを見て薫くんが手を握る。
信じてる、触れた温もりがそう言っているみたいだった。
───────ところで、
「薫くんは…?」
「ん?」
「初音さんのこと…」
どうなった?と聞くのも何だか気が引けて言葉を止めたあたしに「ああ、」と声を発した薫くんはあたしの手を握りながら言った。
「アイツはもう切ったから、何の心配もない」
と。



