ハニーシガレット 【完】






それから暫く泣き続けて、拭ってくれる指先だけじゃ物足りなくて薫くんの胸元目掛けて抱きつけばあたしの背中に腕を回してくれて、それからまた薫くんの胸で泣き続けた。



「柑奈」

「んっ…?」

「それって嫌とか悲しいとかじゃない涙?」

「うん、違うよ」

「ならいい」



そんな事を聞いてくる薫くんは珍しくて、たぶん今日が薫くんの人生の中で一番素直な日なんじゃないかって思った。



さっき薫くんが怖かった、不安だったって言っていたけれど、薫くんもあたしと同じ気持ちを感じていたんだね。

薫くんとは好きの大きさが違うという事を振りかざして甘えていたのはあたしの方だったのかもしれない。


イラついて、傷ついて、どうしていいかわからなくなって傷つけてしまう。


そんな悲しい事が起こらない為には相手の気持ちを考えるという基本的なことが必要だったんだ。


薫くんの気持ちがわかる今なら、お互いが素直になった今なら、きっともう、あの日の様な事にはならないだろう。





「薫くん、好きだよ」

「うん」

「薫くんも?」

「うん」

「好き?」

「すき」



背中に回った腕にほんの少し力が加わって、反対の手であたしの髪の毛を撫でる薫くんに更に強く抱きついた。