ハニーシガレット 【完】






「あのさ、」 「柑奈、」



マグカップを置いたタイミングで話しかけようとして、お互いの声が重なった。



「…なに?」


重なった声に言葉を飲み込んだあたしに薫くんが顔を向ける。


「薫くんこそ」

「柑奈から話していいよ」

「…じゃあ、そうする」


先に何かを言われてしまうよりは先にあたしの気持ちを話した方がいいと思い、ドキドキしている心臓を落ち着かせてから口を開いた。



何から言おう、どうやって気持ちを伝えよう。

あたしは言葉で伝えようと思っても回りくどかったり難しい言葉を使うことが上手ではない。

別れたあの日だって、気持ちを上手く伝えられなくて後悔した。


だからまずは、正直な気持ちを簡潔に伝えようと思う。




「薫くん」

「…」

「あたしは薫くんのこと今でも凄く好きだよ」

「…」

「本当に本当に心の底から好きで、さっきも出会った時のこと思い出してたんだけど、あの頃から何も変わらず薫くんのことが好きだなって思った。むしろあの時以上に好きだなって感じた」

「…」

「この間はごめんね。あたしカッとなって酷いこといっぱい言った…ごめんなさい」




こういう時、泣いてしまったらせっかく頑張って想いを伝えているというのにもったいない。

泣いてしまったら言葉が聞き取りづらいかもしれない。

だけど、ポロポロと瞳から溢れてくる涙に抗うことも出来なかった。