そんな事を思い出しながら薫くんを待っていれば、いつの間にか寝てしまっていたみたいだ。
すっと目を開ければもうすっかり夜の帳が下りていて、空には灰色をした雲の隙間からぼやけた輪郭の月が顔を出していた。
「────かおるくん、」
スマホで時間を確認すれば夜の十時を過ぎていて、寒さも増していた。
まだ、帰って来ないのだろうか。
それともバイトかな。バイトならあと三十分は帰って来ないだろう。
…もしかしてあたしがいるから帰って来ないのだろうか。
もし、初音さんと一緒だったらどうしよう。
夜というのは人を不安定にさせる。
ハッキリしない月を見上げながらモヤモヤとした感情に膝を抱えようとした時、
カンカンという、外階段を駆け上がってくる足音がした。
「────っ柑奈、」
足音を認識してから約五秒、誰だろうなんて思う前にあたしの前に現れた薫くんに、涙が出そうになった。



