そういう、さり気なくわかりづらい優しさに触れていく度に好きの度合いは大きくなっていった。
ウザイと言いつつも本当に傷つくことは言わない。図書室で薫くんの勉強が終わるのを待っていれば「暗くなる前に帰れ」って言ってくれたし、薫くんに付き纏う女として先輩に目を付けられた時はわざわざ間に入って庇ってくれた。
『もうこれで懲りただろ』
『先輩たちは怖かったですけど、薫先輩を好きな気持ちはこれっぽっちも無くなってないです』
『…マジでどーかしてるよ、お前』
『大好きですから』
そう簡単にはこの気持ちは変わりません。
そう言った時のことを今でもよーく覚えている。
怪訝そうに眉を潜めた薫くんだけど、自信満々に笑うあたしを見て呆れたように笑っていた。
そんなふうに少しずつ、少しずつ薫くんを知っていって、縮まっていった距離。
薫くんの卒業式で泣いて赤くなった目のまま、同級生と写真を撮っている薫くんを呼び出して告白をした。
実に三十回目だった。
もうこの時には薫くんは執拗いあたしに呆れ果てていたのかもしれないけれど、『わかった、いーよ。付き合おうか』そう言ってもらえた時は人生の絶頂なんじゃないかってくらい嬉しかったなあ。
甘い言葉なんてなくて、まさに仕方ないって感じだったけど、飛び上がるくらい嬉しくて嬉しくて、式で泣いたばかりだというのにまた泣いてしまったっけ。



