教室にカバンを取りに戻るとまだ趣里はそこに残っていて、ペラペラと本を捲っていた。
「…おかえり」
綺麗なその姿を眺めているあたしに気づいた趣里が微笑む。
「頑張ったね、柑奈」
「しゅり、」
「この後は?先輩のところ行くの?」
きっと、趣里はあたしが出した答えもその後どうしようとしているのかも全てわかっている。
「うん…。今なら薫くんにそのままの気持ちを伝えられる気がする。どうなるかなんてわからないし薫くんはもうあたしの事なんてどうでもいいかもしれないけど、もう一度告白してくる」
何十回としてきた告白。
今は卒業式のあの日よりも不安だし緊張してる。
けれど、あの日よりずっとずっと、好きな気持ちは大きい。
「それじゃあ、行ってくるね」
「うん、後悔しないように」
「ありがとう、趣里。…また明日」
「またね」
趣里にもらった言葉をもう一度思い出して、教室を出る。
賢くあることは不可能だけど、真っ直ぐありたい。
向かうのは、薫くんのもと。



