「答え聞かせてくれてありがとな」
「あたしの方こそありがとう」
「…キッパリ言ってくれて助かった」
「…」
「そうじゃなきゃ多分、諦めつかなかったと思うからさ」
「だから、ありがと。…ありがとな」
普段の明るい元気な声ではなく、震えを抑えるようなぎこちない声色に何も言えなかった。
何も言えないあたしの代わりに、陸斗が切なさの篭った声で言葉を発していく。
「ま、こうなるだろうなってのはわかっていたし、柑奈がはぐらかさずに真剣に向き合ってくれた事が俺は嬉しかったし、これからはお前のこと応援していくよ」
「…」
「好きなやつには幸せでいて欲しいからな!柑奈の恋、応援してやる」
「…陸斗」
「んで、同時に俺を振ったこと後悔させてやる!」
「…、」
「勿体ねぇことしたなって思わせてやる」
「…うん」
「でも柑奈も俺がキッパリ吹っ切れるくらい幸せになれよ」
「…っうん、うんっ…」
涙を堪えながら何度も頷くあたしに陸斗は「お互いがんばろーな」と笑った。
その笑顔は胸が苦しくなるくらい切なくて、だけど眩しいほど素敵なものだった。
「じゃあ、俺はもう少ししたら帰るから先に帰れよ」
「うん」
頷いて、陸斗に背を向ける。
教室を出ようとドアに手を掛けたとき、「柑奈」と名前を呼ばれた。
その声に振り返るとオレンジ色に染まった陸斗がニカッと歯を見せて笑っていて。
「頑張れよ、ありがとな!」
その笑顔は明るいものだったけれど、まるで涙を堪えるように強く握りしめられた手のひらにあたしも「ありがとう」と返した。



