翌日の放課後、陸斗と約束をしたのは告白された時と同じ空き教室。
「待ってるから」
そう言われて、先に陸斗は空き教室に向かった。
「答えは決まったの?」
「…うん」
「それは、後悔しない答え?」
最後まであたしの傍についてくれる趣里は一拍言葉に詰まったあたしに「今のは言い方が悪かったわね」と笑った。
「言い方変える。…それは、柑奈の本当の気持ちだよね」
椅子に座りながら立っているあたしを見上げた趣里の艶やかな黒髪が揺れる。
それは妙に美しくて見とれてしまうものだった。
趣里にはそういう所がある。神秘的というか、趣里の前では素直でいられるというか、彼女の前では嘘がつけない。
「考えて、向き合って、あたしが一番強く思った答えだよ」
「…そっか」
「うん」
「じゃあ、その想いを陸斗に伝えてきな」
パタン、と机の上に広げていた分厚い本を閉じて微笑む趣里。
それに頷きながらチラりと本のタイトルを見れば、デカデカと「偉人名言集」と書いてあって、そういえば趣里はいつもこの本を読んでいるなあと思い出す。
「趣里」
「どうかした?」
「何か背中を押す名言教えてよ」
「はあ?」
「いつも読んでるし、ピッタリなのお願いします」
前にあたしもその本を読んでみようかなと言ったときあたしの趣味には合わないと言われたけれど…なぜか今、背中を押す言葉が欲しくなった。



