観覧車から下りた後は閉園時間も迫っていたことから帰ることにした。
帰りの電車の中でも陸斗は途切れず話をしてくれて、本当に今日は朝から楽しい一日となった。
「じゃあ、今日はありがとな」
「こちらこそありがとう。楽しかった!」
「うん、俺も」
「それじゃあ、またね」
もう日が沈んでいた事から家まで送ってくれた陸斗に手を降って家に入ろうとしたところで、右手を掴まれる。
きゅっと、全然痛くない弱さで。
だけどあたしの足を止めるには十分な強さで。
「柑奈、最後にもう一回言っておく」
街灯と玄関先のオレンジ色のライトに照らされた陸斗の顔はまるで陸斗じゃないみたいに真剣で、その表情に緊張をした。
陸斗の真剣さと同じ分だけ、それ以上にわたしも向き合わなければいけないから。
もう、逃げることもわからないと膝を抱えることも許されない。
明日、わたしは答えをきめなければならない。
ゆっくりと瞬きをしたあたしに陸斗が言葉を紡いでいった。
「俺は柑奈のことが好きだ。今日みたいにずっと笑っていられる様に努力するし大切にする」
「…」
「絶対に傷つけたりしない」
「陸斗…」
「だから、俺を選んで欲しい」
「明日、返事待ってる」
「…うん」
「じゃあ、またな」
頷いたあたしに軽く頷き返した陸斗は「あったかくして寝ろよー!」と言いながら手を振って帰っていく。
その後ろ姿にちいさく手を振り返して家の中に入った。



