密室でうるさいくらいに鳴り響くその音にあたしも陸斗も一瞬動きを止めた。
「電話?」
「うん…」
「出ていいよ」
そう言われ、バッグの中からスマホを取り出す。
「っ」
画面に示されていた相手は、薫くんだった。
何で、今。
一週間何の連絡もなかったのに何で陸斗と二人きりのこの瞬間に電話なんてしてくるんだろうって動揺した。
ドクドクと速さを増した鼓動はもしかしたら陸斗にも聞こえているかもしれない。
それくらい、ゴンドラの中は狭くて手の中で震え続ける着信音以外には音もなかった。
「出ねぇの?」
「あ…、」
「…柑奈?」
こういう時、なんと言えばいいのかわからなくて、鳴り続ける着信音にどうする事も出来ずにいた。
そんなあたしを不思議そうに見つめる陸斗が、気まずそうに苦笑いを零しながら窺うように視線を落とす。
「もしかして、薫先輩?」
と。
肯定も否定もしていないのに陸斗は「やっぱり」と確信を持って息を吐いた。多分、あたしがわかりやすく狼狽えたから。
「出てもいいよ」
「…っでも、」
「俺は別にいい。柑奈が嫌なら出なくてもいいし、好きにして」
イス部分に深く腰掛けて、周りの銀色のポールのようなところに肘を掛け頬杖をつきながら外の景色を見る陸斗は例えあたしが電話に出ても話しやすい様に空気を作ってくれたのだろう。
出るか、出ないか。
鳴り続ける電話に、どちらかを決めるのはあたしだ。



