コーヒーカップに乗っている間、あたしは一心不乱にハンドルを回した。
それはもう、どの子どもよりも一番グルグル回っているんじゃないかってくらいに。
柵の向こうにいる陸斗なんて残像でしか見えないくらいに。
だって、何だか胸がぎゅってしてモヤモヤして堪らなかったから。
それを振り切るように、振り払うように、回し続けた。
「おっまえあんなに回しまくってバケモンかよ」
「うえっ…」
「そして気持ち悪くなるとか馬鹿か」
「馬鹿って、言うな、あ…」
「一人高速で回っててビビったわ。むしろコエー」
そこまで目の回りやすい体質ではなかったものの、超高速回転していたあたしは胃から腸から喉、頭まで気持ち悪くなってしまいフラフラだった。
「ごめん陸斗…調子乗った」
「ったく、ガキかよ?」
「お水、飲みたいです…」
本当に本当に申し訳ないけれどどうしてもお水が飲みたくて、陸斗に買って来てもらうことにした。
陸斗が自販機に向かっている間、近くのベンチに座る。
「ふう、」
心のモヤモヤはまだ取れなかった。



