「どうしたの?柑奈」
突然黙り込んだあたしを不思議そうに見つめる二つの双眸。
「…ううん、何でもない」
「そう?」
「うん」
趣里を好きだって感情や、何か食べ物だったり物だったりを好きだっていう感情は同じ好きでも全くの別物だ。
もちろん薫くんを好きだという感情も。
だから誰と誰、何かと何かを同じ好きで言ったことはないし、あたしはこれでも薫くんに恋をしてきてから好きだっていう感情を大切にしてきたつもりだ。
特に薫くんにはいつでも知っていて欲しいから。
ちゃんと伝えておきたいから、言っていたのに。
「難しいなあ…」
茜色に染まる空に、少しだけ憂鬱になった。



