趣里の言っていることはわかる。
もっと広い視野で男の人を見てみろって、それも大事だとわかっている。
「柑奈は初恋で、全部初めてで薫先輩しか知らないから固執しちゃってる可能性だってあるでしょ?だからこうして陸斗からアプローチされてみて、心境の変化はあったの?」
チュー、とパックのお茶をストローで吸う趣里に、今の正直な心境を話してみる。
「心境の変化っていうか、今まで全然わからなかったけど陸斗が本当にあたしのこと好きでいてくれてたんだっていうのがわかって⋯でも、だからといって陸斗のことをあたしも好きかって聞かれたら違う」
「薫先輩が好きだって思うの?」
「⋯趣里の言う通り薫くんに固執してるかもしれない。初めての彼氏だし全部薫くんしか知らないから傍からみたら変なのって思われちゃうかもしれない。でも、やっぱりあたし薫くんが好きだなって思う」
「へえ」
「陸斗の気持ちは嬉しいけど、それ以上ではないというか…」
「つまり陸斗は一ミリも脈ナシ、と」
「っそんな言い方はあれだけど…」
趣里のハッキリした言葉に狼狽するあたしを見て「ふふ」と上品に笑った趣里は少し変わっているところがある。そういう所もいいところだけれど。
「脈ナシは脈ナシでしょ」
「そうだけど、でも…」
「柑奈が気使ってどうするのよ。でもそうだね、まだ後半分あるから陸斗もどうなるかわからないよね」
「…」
「素直だね」
「趣里は何をどうしたいの」
「柑奈に笑って欲しいだけよ」
「趣里が男の子だったら好きになってると思うよ、あたし」
あまりにも趣里の言葉がイケメンでそう言えば「ありがとう」と明るく笑った趣里。
「だかこそ、いっぱい迷って悩んで幸せだと思える方を選んでね」
趣里の言葉は大人で、難しくて、理解するのは少しだけ、大変だった。



