「じゃあな、また明日」
「うん、またね。趣里もまた明日」
「また」
あたしを送ってから趣里を家へと送る陸斗は二人きりという時間を作ろうとはしない。
それは陸斗の気遣いだとちゃんとわかっているつもりだ。
家の中に入るとお父さんがパンパンとハンバーグのタネの空気を抜いているところで、そういえば朝ハンバーグだって言っていたなと思い出す。
「ただいま、お父さん」
「おかえり」
「夕飯の支度あたしも手伝う。その前に着替えてくるね」
制服が汚れてはいけないと一度自分の部屋へと向かい、部屋着に着替える。
そしてカバンからスマホを取り出し、新着メッセージなとがないかを確認する。
陸斗や趣里とはさっき別れたばかりだからもちろん着信やメッセージが来ることはないだろう。
だからこの行為は無駄だとわかっていても、薫くんへの期待からくるもので⋯。
「やっぱり、何もないよね⋯」
昨日から何度も何度も着信履歴を確認した。
何度も何度もメッセージアプリを開いた。
もしかしたら⋯って期待して。
無駄だとわかっていても、陸斗と向き合うと決めても、この行為はやめられそうにない。
だって無意識のうちにスマホを見ているんだもん。
どんなメッセージが来ていて欲しい。なんてない。ただ、いつもやり取りしていたメッセージ、毎日していた電話がないと本当に薫くんと終わっちゃったんだって苦しいだけ。だからなんでもいいから、薫くんとの繋がりが欲しい。
───なんて、いくら向き合うと決めても自分の気持ちを見つめ直すと決めても、結局あたしはウジウジしている。
何もメッセージが来ていないスマホをそっと閉じて、キッチンへと向かった。



