「~っ、うぅ、っ、」
必死に歯を食いしばってもボロボロ落ちる涙は止まることがなく、頬を濡らしていく。
子どもみたいに泣く姿を見られたくなくて両手で顔を覆ってみるも、情けない泣き声は薫くんにしっかり聞こえているだろう。
「⋯泣くなよ、」
薫くんの声が心配しているのか呆れているのかさえわからない。
「⋯っひっ、く⋯、うぁ、⋯っ」
悲しくて、悲しくて。
初音さんのことも、薫くんの好きを信じられなくなってしまったことも、あたしの好きを疑われてしまったことも、全部が思い通りにいかなくて苦しい。
お前って言わないでって言ったのにそう呼ぶ薫くんが怖い。
初音さんのこと庇うようなこと言わないでって言ったのに、それを正当化しようとする薫くんなんて大嫌い。
本当は話してもいいし、バイトもやめろって言ってるんじゃない。連絡先だって必要なら消さなくていい。
でも、初音さんにちゃんと彼女はあたしだってわからせて欲しい。もう、必要以上に近付かないようにして欲しい。
あたしが嫌なこと言われてたら、何よりもあたしの味方をして欲しい。
ただそれだけなのに。



