自分が悪いのに心が痛くて痛くて、泣かないようにゆっくりと深く呼吸を繰り返してみるけれど酸素が入ってこない。
深く息を吸っているはずなのに、実際は浅い呼吸しか出来ていないみたいだ。
「っ、」
クルシイ、イタイ。
琥珀色の瞳が冷たく突き刺さる。
「初音のことばっか言うけど自分はどうなんだよ?」
「⋯なに、が」
「お前だって田島陸斗って奴家に入れてただろ」
そう言われて思い出すのは風邪を引いた日のこと。趣里と陸斗がお見舞いに来てくれて、⋯でもそれはお見舞いで何もないのに。
その時だってちゃんと薫くんに説明したのに。
でも、そうだ。嫉妬とかそういう感情って、いつまでも心の中でグルグルしていつだって突如として湧き上がってくる。
だけど今の薫くんの言い方はその事自体を根に持っているというより、引き合いに出すものを探しているように聞こえてしまうのはあたしの身勝手な解釈なのかな。
「陸斗とは、何もないよ?」
「お前はな。つーかそれはこっちも同じだけど」
そう言われてしまうと、何も言えなくなってしまうけれどよく考えれば全然違う。
初音さんはあたしに直接嫌なことをしているし、引き裂こうとしている。全部悪意を持って確信犯でやってる。
だからありえないけれど、仮に陸斗があたしに好意を持っていたとしても、初音さんと陸斗じゃ全然違うんだよ、薫くん。
「違う、じゃん」
「一緒だろ」
薫くんの声色がもう面倒だと言っている様でビクッと肩が揺れる。
「別れたいの?」という言葉がずっと頭の中にこびり付いている。



