「薫くんの好きってなに?誤魔化すための言葉?」
「⋯あ?」
「あたしが面倒くさくって、どうにかしようとするご機嫌取り?」
「⋯」
「それともあまりにもあたしが可哀想で痛々しいから憐れみの言葉?」
「何言ってんの?」
顔を顰めた薫くんの表情が今までよりずっと冷たいものに変わっていく。
これまでは怒りを抑えてくれていたんだって、そう思うくらいその表情には温度も色もない。
「そういうのウゼェんだよ」
薫くんが言いたいこともわかる。
好きかと聞いたのはあたし。望んでる言葉をもらえたのに酷い言葉で返したのもあたし。
自分でもウザイって思う。
でも、信じられなくなっちゃったんだもん。
信じたいけど、信じたいって気持ちよりも疑う気持ちの方が大きくなっちゃったんだもん。
「薫くんの好きって“そこまでではない”って意味なんじゃないの⋯?」
涙を多く含んだ声が、二人の間に流れて消えていく。
言葉なんて目に見てないし、形として残るわけでもない。それなのに一度口にしてしまった言葉は決して心から消えてはくれないんだ。
だから、人を傷つけたり悪意ある言葉を口にしたらダメなのに。
また、悪意を持って薫くんを傷つけてしまった。



