「離してよっ⋯!」
「だから無理だって、」
「今は薫くんと話したくないっ」
「いいからとりあえず部屋入れって」
「嫌っ!」
どんなに強く掴まれた手を振りほどこうともがいても、男の人の力に適うはずもなく。
「話とか言ってどうせ怒るんでしょっ!?」
「っ」
「人を叩くような彼女でごめんね、もういいでしょ?離してよ!」
早く逃げたくて。決定的な言葉を言われてしまうのが怖くて。だからと言って自分から嫌われてしまう様なことを言ってしまうあたしはどうしようもない大馬鹿者だ。
「柑奈っ!」
「言い訳なんて聞きたくないっ!!」
仲直りしにきたはずなのにどうして上手くいかないの?
イヤイヤと暴れるあたしの腕を掴む力が強まって、
「もう、離してよっ⋯」
涙が溢れた瞬間、それまでよりも一際強く腕を掴まれた。
そして腕を強く引かれたと思えば、部屋の中へと連れ込まれていた。
──────バタンっ
大きな音を立てて閉まったドア。背中にはドアの冷たい感覚がした。



