真っ直ぐな廊下の、一番端にある薫くんの部屋。その玄関の前にしゃがみ込む初音さん。
一瞬、幻覚かなと思った。
でも違った。防犯の為、アパートの廊下部分は腰の高さ辺りまで板で目隠しをされている為外からじゃ見えなかっただけだ。
初音さんはここで、薫くんを待っていた。
「⋯っなに、」
仲直りしようと思ってやって来たのに、どうして初音さんがいるの。
状況を理解できていないのは薫くんも同じだった。
「初音お前、何してんの?」
もう見られてしまったからいいのか、再びあたしの手を握ってズカズカと初音さんの方へ歩いて行く薫くん。さっきよりも手を掴む力が強い。
「あ、薫!待ってたんだよぉ」
ヤッホー、と言いそうなくらい軽い口調で話す初音さんは何も悪いことはしていないみたいな顔をして笑う。
屈託のない、笑顔で。



