ハニーシガレット 【完】





あたしが校門に近付くにつれて、人だかりから出てきた薫くんは「迎えに来た」と一言だけ告げて手をとった。

手のひら、ではなく手の甲と手首の間あたりを無造作に。


それで薫くんの機嫌が悪いことを察する。

それは、人混みが嫌いな薫くんが生徒たちに囲まれていたせいか。
それとも昨日のことか。

恐らくどちらも、だろう。


だけど昨日のことは怒りたいのは薫くんではなくあたしの方だ。


掴まれた手を振り払おうかとも思った。⋯けどこれでは同じことの繰り返し。


喧嘩ではなく仲直りしたくて会っているんだということを思い出してそのまま、早足で歩く薫くんについて行った。