放課後になり、趣里と陸斗と教室を出る。
どうやら二人はあたしに気合いを入れてくれるらしい。
上履きから靴に履き替えてふん、と鼻息を鳴らす。
「何も戦に行くわけじゃないんだから」
そんなあたしを見て趣里が笑った。
「いい?柑奈、ちゃんと自分の気持ち伝えなさい」
「⋯うん」
「嫌なことも苦しいこともムカつくって事も、我慢しないで言わないと意味ないからね」
「⋯うん、わかってる」
「それでいて、好きって気持ちもちゃんと伝えるんだよ?それで仲直りして明日また笑った顔見せて頂戴」
あたしの曲がったリボンを直しながら微笑む趣里はまるでお母さんのようだ。
聖母マリア様でも過言ではない。
それくらいあたしをいつも優しく包んでくれる。
今だって、本音を言えば薫くんに会うのが怖いけど、趣里が背中を押してくれるから逃げ出さずにいられる。



