あたしの方が好きなのはわかっていたし、
それは仕方ないことだと諦めていたけれど。
こういう時、その差は果てしなく大きいのだと思い知らされる。
「⋯こわい、」
酷いことを言ってしまったあたしを許してくれるのか。あたしも、薫くんを許せるのか。
今だって初音さんの顔や声が頭の中に浮かんできて嫌な気持ちになるのに冷静に薫くんと話が出来るのかわからないから。また傷つけてしまったら。酷い言葉を言ったり言われたりしたら。
「──向き合うことが怖い」
ぎゅっと、両手を握りしめた。
まだ、薫くんを振り払った感触が残っている。
「柑奈」
俯き、恐怖に目を閉じたあたしの頭に陸斗の大きな手のひらが乗る。
「このまま薫先輩と気まずくなって、その性格悪ぃ女に取られてもいいのかよ?」
「⋯っやだ」
「なら怖いとか言ってる場合じゃねぇだろ!
ちゃんと話せば仲直り出来るって!柑奈は薫先輩のこと許したいと思ってるし好きなんだろ?」
「うんっ⋯」
「なら大丈夫だ!な、趣里!」
クシャクシャと髪の毛を撫で回す陸斗に「そうね」と返した趣里。
二人の優しさが心に沁みていく。
「ありがとう、二人とも」
二人の言う通りだ。このままでいいわけがないし、早く仲直りもしたい。
ちゃんと薫くんと向き合って、好きの差を埋めていきたい。
だってまだまだあたしの方が好きは大きいけれど、薫くんからの愛はちゃんと伝わっているんだから。
恐怖や弱さに負けたくない。
なにより、初音さんに負けたくない。



