「薫くんといると苦しい⋯」
「⋯、」
「もう一緒にいたくないっ」
言った瞬間後悔した。けれどこれも紛れもなく本心だ。
今は薫くんの顔さえも見たくないよ。
「本当にっ⋯嫌いっ、」
好きだけど嫌いで、苦しくて涙が溢れる。
「大っ嫌いっ⋯」
「⋯かんな、」
「初音さんといればいいよっ⋯」
そんなこと言ったって、突き放したって、状況は悪くなるだけなのにもう、この辛い状況からただただ逃げたくて薫くんに背を向けて走り出す。
「待てって、柑奈っ!」
「離してよっ⋯!」
「柑奈っ」
「薫くんといたくないんだってばっ⋯!もう、あたしに構わないでよ!!」
引き止めてくれた事が嬉しくもあり、辛かった。
今は薫くんに何をされても初音さんがチラついてどうしようもなかったんだ。
バシッと、乾いた音が鳴る。
薫くんの手を振り払った音だ。
「⋯ちょっと頭冷やせば?」
薫くんに言ったのか自分に言ったのかもわからない。
最後は薫くんの顔さえも見ずに走り出した。



